『価格の見える家づくり』
分離発注による『原価』で建てる家づくりとは?
昨今、さまざまな業界において、支店を通さないネット上での取引が主流となっています。
建築業界では同様に、分離発注方式(CMコンストラクション・マネジメント)という画期的であり合理的な建築方法があります。
分離発注『オープンシステム』とは、建て主が建築家のサポートを受けながら、各工事の専門業者と直接契約する建築方法です。設計から建物完成までを、工務店を通さずに家づくりを行います。
分離発注で建てる家はたくさんのメリットがあります。
どんなシステムなのか、どんなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
シンク設計事務所では2005年より本格的にCM分離発注『オープンシステム』に力を入れてきました。
CM分離発注とは、日本の建築システム従来のようなハウスメーカー・工務店などの一括請負型(建築工事○○○○万で契約というやり方)で建築を行う方法ではなく、建築士が建て主さんのパートナーになり、建て主が20社程度の専門工事会社と直接契約を行う建築のやり方です。私たち設計事務所が、建て主さんとの委託契約の元、プランニングから現場監理、引き渡しまでの全て業務を行い、建て主さんのパートナーとしてサポートする仕組みです。
メリットとして、限りなく建て主さんの気持ち(立場)になって設計監理・現場監理が出来ます(ハウスメーカーの設計や現場と比べ、メーカー側から制限されることがないということです)。そして、一括請負型との一番の大きな違いそれは、価格が透明化されたということです(各専門工事業者と『原価』で契約していただきます)。20社程度の専門工事会社と直接お会いして一度に契約していただきますので、「我が家ができるまでにこれだけの業者が関わっている」と、建て主さんから見て建築がわかりやすくなりました。CM分離発注を選ぶことで、建て主さんと、設計事務所と、職人さんだけのシンプルな関係で家づくりに取り組む事が可能です(工務店、ハウスメーカーを通さないので中間マージンがないということです)。
難しいと感じる方がいらっしゃいますが、基本的に私たちがハウスメーカー・工務店の行う全ての業務を行いますのでご安心ください。建て主さんの増える作業というものは、工事着工から完成までの月末の各業者さんへのお振り込みですが、このお支払いについても、工事の出来高払いでのお支払いになりますのでむしろリスクが低く安全なものとなっています。
私たちは『価格の見える家づくり』と題して、お客様にメリットのある建築方法『原価』で建てる家づくりを行っていきます。
従来型『一括請負方式』と、分離発注『オープンシステム』の違い
従来の建築方(請負型)
これまでの家づくりは一括請負方式といわれるものが大半でした。
この一括請負方式とは、字のごとく建築工事を一括で請け負うやり方です。ハウスメーカーや工務店がこの方式をとっています。
請負方式は、「契約金額」と「実際の工事費原価」との差額が利益となります。
では、この『差額』とはいったいどれくらいなのでしょう?
ハウスメーカーや工務店等の元請けは、建て主との契約が決まり次第、お抱えの設計事務所や各専門工事業者に見積を依頼します。
各見積がそろったところで集計し、ここで工事原価がわかります。ここから、各見積りそれぞれに元請けの諸経費を上乗せしていきます。これが建て主との契約金額になります。
この上乗せされる諸経費は建て主には公開されません。
Q.どうして工事原価、諸経費は建て主に公開されないのでしょう?
A.それは、透明になることで利益確保が難しくなる為だと考えられます。正直に公開してはあまりにも金額が高くなってしまうのです。ハウスメーカー等は30~40%もの経費を上乗せするといわれています。経費は何に使われているのかイメージしてみて下さい。
※TVCM、新聞の折込広告、カタログ等の宣伝営業。
※各社、地域ごとに住宅展示場を設け、その地代等の維持費。その展示場には交通整備員、営業マンを数名配置し、営業活動。
規模の拡大を目指すがゆえ、あなたの家とは関係ない無駄な経費が発生しているのです。
また、契約金額と実際の工事費原価(下請けへの支払い)の差が大きければ大きいほど売り上げが上がるわけですから、下請け会社への出費を減らします(業者たたき)。技術を身につけた職人さんは、たたかれた単価で納得できるでしょうか?
※業者たたき…「この値段でやってくれ!」という理不尽な要求。
これまでの家づくりには、このような問題点がありました。
※世間を騒がせた構造計算偽造問題も『業者たたき』と非常に似ています。
依頼者→元請の建設会社→下請となる設計事務所→孫請のA建築士
「安くしろ!」という上からの圧力はまさに請負方式の特徴です。一番危険が潜むのはこの部分で、これ以上ない最悪の結果になってしまったのだと思います。
いい家が安く建つ!こだわりの家を原価で建てる(分離発注型)
それでは、ここから画期的、合理的な建築方法分離発注『オープンシステム』の説明をします。分離発注とは、建築士が直接、設計監理・現場監理を行うやり方です。
従来の請負方式では、ハウスメーカーや工務店の従業員が現場管理をしてきました。この現場監理の内容は、施工工程管理、見積書検討、発注、施工写真管理、アフター管理等です。
設計監理とは、現場・官公庁調査、プランニング、図面作成、模型・CGパース作成、躯体構造計算、確認申請、見積書検討等をいいます。
Q.具体的に、今までのやり方とどう違うの?
A.建て主=建築士という関係です。建築士はパートナーであり適正価格のわからない(普通わからない)建て主に代わって工事業者の見積を分析し、各工事業者に建て主=建築士が直接発注します。ですから、見積にハウスメーカーや工務店等のような経費の上乗せはありません。結果として、価格は透明になり総工事費は抑えられます。ハウスメーカーも工務店も設計事務所も家を実際に造るのは地元の同じ職人さんです。
※建築の仕様というものはさまざまですが、住宅展示場のような仕様の場合、総工事費で約15~20%のコストをカットすることができます。
弊社での分離発注方式の報酬は設計監理料、現場監理料として14~18%です。 設計事務所の場合、2~3人で事務所を構えている場合が多く、それほど多くの経費を必要としないのです。
分離発注はテレビや新聞、雑誌等でも採り上げられ、世界中では一般的なやり方になっています。むしろ日本の請負方式のほうが特殊です。
戦後60年の間に建築のやり方は変化してきましたが、請負方式→分離発注方式というのは建築の新しい考え方、やり方です。
家づくりは、昔は近所の大工さん(請負)、それが工務店(請負)やハウスメーカー(請負)と選択肢が増えてきました。
これからは分離発注を行う設計事務所(分離発注)という選択が、ひとつの賢い家づくり方法です。
分離発注は、もともとは工務店の社長などが自邸を建てる際に行っていたものでした。工事業者を知っていれば会社を通して請負にする必要はありません。少し前までは建築に携わる一部の人間しか分離発注での家づくりは難しかったのです。
分離発注が『オープンシステム』として表に出てきた今、気づいている人は気づいています。全国では北海道から沖縄石垣島まで、志を持った建築家がオープンシステムに参加しています。
このシステムはwin-winになれる新しい考え方、建築方法です。
シンク設計事務所の家づくりで最も大切に考えていること、それは〝長期にわたる住み心地〟です。
『自然素材で安らぎのある健康住宅』『耐震性の高い安心できる家』『光と風を十分に取り入れた計画』住宅の〝長期にわたる住み心地〟とはこれら色々なことに当てはまると思いますが、それは当然のことと考え、ごく当たり前に実施しています。これらは住宅計画にはとても大切なことです。
弊社が勧めるこれからの住宅として大切なこと、それは、夏は涼しく冬は暖かい、本物の『高気密高断熱住宅』を造ることです。
「夏は涼しく、冬は暖かい」これは、私たちが生活していくなかで日々感じやすいところ、高気密高断熱の家で生活していくと暮らしが変わります。
住宅の性能は、外皮平均熱貫流率Ua値と住宅の相当隙間面積のC値で表すことができます。この二つの数値、どちらも大切です。断熱の方だけに気を使って高断熱としても、家にすき間があると熱が逃げてしまい断熱の意味がありません。私たちは現場監理も行う設計事務所です。施工も監理させていただいている立場から感じていることは、高気密高断熱に向いている断熱方法はあります。その断熱方法のやり方を現場でしっかりチェック、我々も施工していきます。すき間のない魔法瓶のような家にすることで、夏の日差しや冬の寒さを断熱し、熱の逃げない効率の良い家を造ることができます。
また熱の出入りが一番多い場所、『窓』の性能を上げることが大切です。弊社では高性能な『樹脂サッシ樹脂スペーサー』を標準仕様としています。
高気密住宅といっても季節によっては窓を開け、風が通り抜ける気持ちの良い住宅です。
シンク設計事務所は、夏涼しく冬暖かい『高気密高断熱住宅』を標準仕様とし、自然素材のある省エネルギー住宅、エコハウスを造っていきます。
性能目標値は、Ua値0.46 C値0.3です。
Ua値について、より高性能を求める方には、ダブル断熱仕様+トリプルガラス樹脂サッシ仕様にすることでUa値0.3以下も可能です。
原価で建てる家づくり 分離発注『オープンシステム』で、本物の高気密高断熱の家を一緒に造りましょう。
自然素材を使った家は、その部屋の空気感や住み心地が違うという意見が多いです。
無垢の床板を使い、夏も冬も一年中はだしで暮らしたい、リビング・寝室は自然素材の壁にして落ち着ける空間にしたいなど、健康志向で自然素材を求める方は多くなっていると感じてます。ですが、展示場でオプション価格を聞いたら予算では難しかったなどの話も聞きます。自然素材は高いのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、工事業者さんと直接契約する分離発注は原価で家が建てられます。無垢の床1ケース(約0.5坪)、柱1本1本の金額まで価格はすべて透明です。このオーク材はいくら、チーク材はいくら、パイン材はと、選ぶことが可能です。
そういう小さなひとつひとつの希望・要望の積み重なり、皆それぞれの明確な理由があって、住まいのデザインはカタチづくられるものだと思います。住まいづくりは、「土地」も「建て主さんの考え」も皆様々ですから、あくまでも、お客様とのキャッチボール(打ち合わせ)の中で外観や内装のイメージ〝希望・要望〟を汲み取ることが大切です。
初めてのプラン打ち合わせの際は必ず数案提出しています。数案提出する理由は、たとえそれが考えぬかれた案だとしても、たった一つのプランだけで価値観のズレを埋めることはできないと考えるからです。私たちの考える家づくりは、お客様が主役の共同作業です。お客様の価値観と設計する私たちの価値観を合わせ、その土地の、暮らし方のベストな答えを探します。
良い住まいのデザインとは、ご家族の暮らしを考え、それをカタチにすることです。
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